私のご主人様Ⅲ
台所までたどり着くとようやく息をつく。
あの人、一体何者だったんだろう。季龍さんの幼馴染だって言ってたけど、季龍さんの対応はとても幼馴染に向ける視線じゃなかった。
…また、何か起こるんだろうか。
そんな予感を振り払って顔をあげる。
大丈夫だよ。だって、季龍さんが直接向かってるんだ。それに、信洋さんだって何か対策をするはず。
そんな心配しても私には何もできないなら、私にできることは永塚組の人たちが元気に過ごせるようにすること。
そう、食事作りに環境整備。やることは盛りだくさんだ。
だから、季龍さんたちに任せよう。私は私のすべきことをするだけ。
そうと決まれば早速冷蔵庫を開ける。
多分、奏多さんも暁くんも来れない。なら、早めに動いてちゃんと準備しよう。
パチッと頬を叩き、食材を取り出した。