私のご主人様Ⅲ
季龍side
「ッ…いってぇ……おいおい、ひでぇなぁ」
琴音を追いかけようとした奴を引きずって無理矢理客間に放り込んだ。
身を起こしたこいつはあぐらをかいて、余裕な笑みを消さない。
その笑みの奥に何かを隠していることははっきりしていて、油断は出来なかった。
「…」
一瞬でもこいつを見失った奏多と暁が部屋の出入り口である襖を塞ぐように立つ。
そして廊下には青海をはじめとした屈強な奴らが見張りを続けている。
逃げ場などどこにもない。それなのに、目の前にいるやつは余裕を消すことなく、そこに座ってやがる。
「なに怖い顔してんだよ」
「なぜここが分かった」
「はぁ?突然消えた幼馴染を血眼で探し回った幼馴染に、随分な言い方…」
言葉が終わらないうちに落とした蹴りを寸でのところでかわした奴は、笑みを消し、仮面が剥がれたように無表情だった。
「答えろ。なぜここが分かった」
「…っは、あんなに大目立ちしてよく言うぜ。なぁ、さっきの子あの場で買った女だろ」
まさかの言葉に舌打ちが出る。
こいつもいたのか、あの闇のオークション会場に…。