私のご主人様Ⅲ
「やめろ…やめてくれ…」
「本物の解毒薬は?」
「っ…スマホの充電パックの裏だ」
恐怖にひきつった顔で奴が吐いた場所を、暁が荒々しい手つきで漁る。
「っありました!」
証言通り出てきた白い錠剤。
だが、それをそのまま信じられるほど、誰も楽観視はしていない。
更にスマホをばらす暁と、押さえつけたまま奴の体を探る奏多。
「あれが本物って証拠は?」
「あんなとこにわざわざ隠してんだ!!薬がなきゃ、交渉にならねぇだろ!!」
再度の確認と、何も出ないのが証拠。
だが、効果が薄れるのを危惧しながらもそれを水に溶き、毒に耐性のある青海がなめる。
「…間違いない。解毒薬だ」
そこまでの確認がとれてようやく琴音に飲ませる。
「っげほ…っう…」
「ちゃんと飲め。琴音」
「っげほっげほ…」
何とか薬を流し込むが安心はできねぇ。駆けつけた医師と平沢に琴音を任せ、奴に向かう。