私のご主人様Ⅲ
学校にたどり着き、ドアが開かないことに驚いたけど、チャイルドロックがされているのを思い出す。
反対のドアから回って出てきた季龍さんに引っ張られて車から出るのも、悲鳴が上がるのも、懐かしいような気がする。
何となく声がした方を見ると、嫉妬に歪んだ目が突き刺さってくるような気がした。
「琴音」
季龍さんに視線を戻すと、歩き出した季龍さんに手を引かれて歩き出す。
教室にたどり着くと、それまで賑やかだった教室が静まり返る。
それをものともせず自分の席に腰を下ろした季龍さんは、つまらなさそうな顔で頬杖をついた。
自分の席で荷物を整理していると、ポンッと頭に衝撃。顔をあげると、華さんがいて、頬が緩んだのを感じた。
「おはよう。追加のお仕事が来たお知らせです」
「ウゲッ」
「文句は接客班にどうぞ?私も参戦する」
顔に出てたらしい。笑みを浮かべながらも殺気をみなぎらせる華さんに苦笑いを返した。