私のご主人様Ⅲ
暗い瞳
「…ぅ」
「めぇ、覚めたか?」
眩しい。何も、見えない…。ただただ真っ白な世界が眩しくて目を閉じる。
まぶた越しにも差し込んでくる光が、やけに強くて痛かった。
「琴音ちゃん?」
「琴音?」
声は聞こえる。奏多さんと暁くん…?
手を動かそうとしたけど、ビリッと電気が流れるような感覚が走っただけで動かせなかった。
手だけじゃない。足も、体も、顔も動かない。出来ることとすれば瞼を開けたり閉じたりするだけだ。
なんで動かないんだろう…。そういえば、急に気持ち悪くなって…それからの記憶がない。
もしかして、あれやっぱり毒だったのかな…?そうじゃないとこの状況説明できないもんね。
のんきに状況把握をしていると、体が浮いた感覚がする。
「琴音ちゃん、聞こえる?」
聞こえてる…けど伝える術がない。瞼は上げられるけど眩しいから開けたくない…。
どうしよう。寝てるって勘違いされるけど、お水飲みたい…。
あう、ここは我慢して…。恐る恐る瞼を上げる。でも、強烈な光にたまらず目を閉じた。