私のご主人様Ⅲ
「…電気消します」
「え?」
「瞳孔開いてるのか」
暁くんナイスです!
電気が消えたのか、少しだけ眩しくなくなる。恐る恐る瞼を上げると、やっぱり眩しいけどさっきよりは我慢できる。
でも、真っ白にしか見えなくて、誰がどこにいるとかは全く分からなかった。
「琴音ちゃん?」
「………」
ダメだ口も動かせない。せめて口が動かせたら暁くんが分かってくれるのに。
そのままでいると、ふわっとまた体が浮く感じがする。抱き締められて、それが季龍さんだと何となくわかった。
「聞こえないのか?」
「分からないです。でも、琴音ちゃんがこっちが見えてないと思うんですよね…」
「…琴音」
聞こえてる。だけど、伝える術がない。それが悔しくて、伝えられない恐怖を初めて痛感した。