私のご主人様Ⅲ
頭に手を回され、そのまま重なる唇。
それは1回では終わらなくて、何かを欲するように重なってくる。
「っん!?……っあふ…」
「…」
いきなり口の中に入ってきた何が熱くて、頭がくらくらする。
気づいたら布団に押し倒されていて、何度も重なる唇が熱くて、頭がくらくらして、おかしくなってしまいそうだ。
しばらくして離れた季龍さんはもの足りなさそうな顔をして、息の上がった私に口角をあげる。
そんな顔に心臓が高鳴った。
「琴音」
「…」
「俺は大丈夫だ。だから、聞いてくれないか?」
「…で、も…」
「心配するな。もう投げやりになんねぇ…。それに、聞いてほしいんだ」
季龍さんの目はしっかり私の姿を映していて、さっきまでの暗い目じゃない。
頷くと、季龍さんはまた私を膝の上に抱き上げて、手を握ってくれる。私の手を包み込む季龍さんの手は大きくて、握られているだけなのに安心した。
一度深呼吸をすると季龍さんは私と視線を重ね、口を開いた。
「さっきも言ったが、俺と梨々香は関原組の組長の子どもだ。なんで逃げ出したのは今から3年前。でも、そのきっかけは7年前の話だ」