私のご主人様Ⅲ
…でも、完全に落ちるに落ちれなかった。
『っうわぁぁぁあああん!!!おかあさぁぁああん!!!!!』
『梨々香、母さんは…』
『うわぁぁぁあああん』
毎日母さんが大切にしてた着物を抱き締めて泣き叫んでいた梨々香を、捨てておけなかった。
傷だらけになっても、必ず戻ってきて泣く泣く梨々香を慰めて眠った。
梨々香を守らなければいけない。気づけばそれが頭にあって、段々と暴れることも少なくなった。
『よぅ、季龍くん』
『…なんでここにいる』
『いや、だって俺らあんたに負けたし。ちゃんと責任とれよ』
『…』
暴れていた時のケンカ相手が組の門を叩き始めたのも、この頃。
ガキに負けたのが気に食わねぇとか、強い奴といるのもいいとか、舎弟にしろとか。なにかと理由をつけてやって来た奴らは、組に入っては俺や梨々香に構った。
あいつらも居場所がなかった奴らだ。組っつう場所がある意味あいつらを吸収したのかもしれねぇ。