私のご主人様Ⅲ
『何をするつもりだ!?』
『季龍クンたちを匿ってくれる人に連絡しただけ』
『バラすって言っただろうが!』
『それは部屋をってこと。この隠れ家も用済みってこと』
妙に冷静なのが逆にイラつかせる。
自然と体に力が入る。でも、その前に信洋に両肩を捕まれ、静かな目を向けられる。
『お前は、妹を守りたいんだろ?今俺を殴っても、助からんねぇぞ』
『っ…』
『大丈夫だ。親父さんはお前たちを悪いようにはしない。だから、俺を信じてくれ』
『…ッチ』
他に術がないことは分かっていた。
信洋にすがるしかないことも、その道を閉ざせば行く末は見え透いていたことも。
拳をほどき、その場に腰を落とす。信洋は笑って休んどけと言うと、部屋の整理を始める。
それを見ながらも、気が抜けたのかやって来た眠気に逆らえず目を閉じた。