私のご主人様Ⅲ
「ここは戦場になる。お前たちを巻き込みたくねぇ」
嫌だ。待って、私は…。私は…。
「抗争が落ち着くまで、平沢が管理してる別荘に行ってもらう。その間、俺たちとは連絡がとれなくなる」
どうして、そうなるの?なんで、離れなきゃいけないの?
『…お前は必ず守る。…だから、傍にいろ』
『…季龍さんの傍にいます。…あなたがそれを望む限り、ずっと』
約束したのに。傍にいるって、あなたが望む限り、私は傍にいるって約束したのに…。
…季龍さんは、もう、私が傍にいることを望んでないの?
「…」
声が出たら、手が動けば、あなたの傍にいると伝えられるのに。
怖くないって伝えられるのに。
「今日の夜出発だ。護衛には、暁と青海、平沢、田部さんが付く。お前は麻痺が治るまで療養してろ」
それはもう決定付けられたこと。私には、それを、翻すことなんかできない。
季龍さんの手を握ることも出来ない手は、ただ力なく下がっているだけ。