私のご主人様Ⅲ
距離が離れていく。
なのに夜の空は空いた距離を測るには難しくて、離れていく実感をいまひとつ持てないまま。
『…必ず迎えに行く。だから、待ってろ』
季龍さんの声が頭の中に響く。
あなたがそう望むなら、私は逆らえない。
でも、…でも、出来ることなら離れたくなかった。傍にいたかった…。
それだけでよかったのに…。
「…き、りゅ……さん」
どうか、あなたが無事でいられますように。
そして、季龍さんの言葉が早く現実になりますように…。