私のご主人様Ⅲ
「高崎さん大丈夫?」
「葉月さん最低~。いくら季龍くんが好きでもあれはないわ~」
こんな茶番に首を突っ込んで来たのは、昨日まで確かに高崎さんをよく思ってなかった人たち。
厨房班に迷惑をかけていた筆頭たちだ。
泣き続ける高崎さんの肩を持ち、私を睨み付けてくる。
なにこれ。昨日まで張り合ってたのが嘘みたいに、協同して私の前に立つ。
私が悪いと言わんばかりに向けられる視線は、狂喜に満ちて歪んでいる。
お気楽な人。
気にせず本のページをめくる。大体分かってるからいいよ。もう飽きた。
何かわめいてるけど知らない。聞くだけ無駄だ。ポケットに手を入れると、奏多さんがくれたイヤホンがある。
暇なとき聞きなって一緒にくれた音楽プレイヤーに繋ぎ、耳に入れると喧騒も少しは和らいだ。
なのに、耳に入れたばかりのイヤホンは突然伸びてきた手によって外れ、喧騒が耳に飛び込んでくる。
「ふざけんな!!」
「ッ!?」
罵声と共に頬を殴られ、一瞬目に星が飛ぶ。