私のご主人様Ⅲ
視線を向けると、怒り狂ったような瞳に映った自分が見えた。
ぼんやりした頭でそれを見ていると、また手が振り上げられたのが見える。
今なら避けられる。それどころか、やり返せる。
分かってる。でも、そんな気も失せてしまった。
降り下ろされるはずだった拳は、横から伸びた手に止められる。
「見苦しいにもほどがあるんだけど」
止めたのは麻夏くんで、冷めた声で彼女たちを牽制する。
でも、麻夏くんの手を振り払った女の子は強気を崩さない。
「っ何よ!あんたもこいつの味方する気!?」
「お前らの味方なんかに誰がなるか」
「っこいつのどこがいいわけ!?ばばあみたいな髪して、その上喋れない、欠陥だらけのやつのどこが!!」
指をさされ、たてしまくられる言葉が地味に胸に刺さる。
だけど、あんたらよりはまだ仕事はできると言い返してやりたくなった。思っただけだけど。