私のご主人様Ⅲ
「若を呼べっ!!」
「救急車!!」
「っ!?」
突如廊下に響き渡った声に、全員が動きを止める。
次第に大きくなっていく騒ぎに、ただ事でないことが起こったのは明らかだ。
『今日、組員を殺す』
『俺らは永塚組を潰す。んで、琴葉チャンは、永塚組から逃げ出したいんだろ?俺が琴葉チャンを逃がす代わりに、俺らに加担してほしいって訳だ』
舛田の言葉が頭をよぎる。
まさか、まさか本気でそんなこと…。
「様子を見てくる。お嬢も琴音もここで…」
「っことねぇ!?」
台所を飛び出して、騒ぎの大きい玄関へ向かう。
慌ただしく動く組員たちの間をすり抜け、先へ進む。近づくごとに鼻を突くのは鉄の臭い。