私のご主人様Ⅲ

それに…。

『琴葉さん、手間はかけるだろうが、わしの家族を頼んだよ』

こんな私に、源之助さんは自分の命よりも大切な、彼の家族を託してくれた。

その思いを裏切ってまで、私は舛田に協力するの?

恩も、何もない。よく知りもしない相手を信用して、ここにいる人たちを裏切ることなんか、私に出来るっていうの…?

「ここちゃん!ご飯ってもうやってくれてたか。ありがとな」

台所に顔を覗かせた信洋さんは、ちょうど用意できた雑炊を見てニヤリとする。

暁くんはお皿を出そうとしていた手を止めて伸洋さんに顔を向ける。

「何人いるんすか」

「8人。全員命に別状はないから安心して大丈夫。でも、まぁ… 全快までにはちょーっと時間がかかるかな」

台所に入ってきた信洋さんは、暁くんと話ながらも私に近づいてきて、頭を撫でてくる。
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