私のご主人様Ⅲ
翌日の昼休み。
昨日指定された場所に向かうと、余裕な顔をして机に腰かけている舛田がいた。
私の姿を見るなりその表情はニヤリと笑みを浮かべる。
「決心、してくれたってことでいいんだよね?」
「…」
「…まぁ、昨日の奇襲が成功した時点で、琴葉チャンはこっち側についたってことなんだけどねぇ」
頷くこともなにもしないで舛田をじっと見つめる。
話ながら近づいてきた舛田は目の前に止まると、壁に手をついて私の顔を覗き込む。
「協力、してくれるよね?琴葉チャン」
「……………コク」
「よろしく。これで俺たちは一心同体。永塚組を潰すその時まで、ね」
にやける顔を抑えきれないのか、舛田の顔は狂喜に歪む。
歩み出したらもう立ち止まれない。
この先に何が待ち受けていようとも、私にはもう後戻りなんか出来ない。
この先にあるのは希望か、それとも破滅か。
避けられない抗争の火蓋が切って下ろされた瞬間だった。