私のご主人様Ⅲ
「え?」
「奏多さん??」
頭に巻いてあった包帯をほどく。立ち上がろうと足に力を込めると痛みは走ったが、立ち上がれないことはない。
そのまま立ち上がろうとすると、暁に支えられる。
「奏多さんっ何しようとしてるんすか!」
「琴音ちゃん、迎えに行く時間だろ。俺も行く」
「無茶ですよ!それに、来週中には復帰するって奏多さんが言ったんすよ!?」
「包帯は外した!車に乗るくらい俺にだってできる」
「でもっ」
「まぁ、いいんじゃね?暁、松葉杖持ってきてやれよ」
加勢してくれたのはまさかの信洋さんで、思わず視線を向けると苦笑が返ってくる。
「心配なんだろ?顔見たら安心するなら、迎えに行くくらいしてやれよ」
「…いつ、襲撃があるかも分からないのに、ですか?」
「…あぁ。奏多も覚悟していくんだろ?」
頷くと、反対していた暁はバカだろとこぼしながら、松葉杖を取りに行ってくれる。
傍に無造作に置かれている着替えに手を伸ばし、着替え始める。
信洋さんは傍で黙ったままだったけど、あえてなにも言わなかった。