私のご主人様Ⅲ

呉越同舟もいいところだ。

私という“敵”を排除するために、一時結託というところだろう。

だけど、そうだとしても。まさかこんなに傷が残るようなことをされると思ってなかった。

こんなの、訴えれば暴力事件に出来る。全治何日だろう…。とは言っても、上書きされるように暴行されるから消えるどころが濃くなるばかりだ。

正直舐めてた。まさかバレたら自分達が圧倒的に不利になるようなことはしないと思っていたのに、あの人たちは後先考えてない。

だから感情的になるほどエスカレートする。

多分、私が誰にも言わないのもあの人たちをいい気にさせてる。

…でも、今騒ぎを起こすわけにはいかない。私に注目が集まるようなことをすれば自由に動けなくなってしまう。

せめて、舛田との交渉が終わるまでは…。

「琴音、着替えたか」

廊下から聞こえてきた暁くんの声に我に返る。

襖を開けると、怖い顔の暁くんがいて、そう言えば怒られてたんだと思い出して冷汗が流れた気がした。
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