私のご主人様Ⅲ
「琴音。なぜ舛田と話した。何をしていた」
「っうあ…」
「答えろ。琴音」
息が…できない。
無だったはずの季龍さんの表情は険しく、怒りに満ちている。
言い付けを破ったことを怒っているのか。それとも、密会まがいなことをしたことを怒っているのか。
いや、どれかじゃない。私の軽率な行動全てに怒っているんだ。
視界が霞む。思考が途絶えていく。
「ッチ」
「…っはぁッゲホッゲホ!!」
唐突に離れた手に、体はついていかず、気づけば床に倒れていた。
喉が焼けているみたいに痛い。何度も咳き込んで、その衝撃が更に喉を痛め付ける。
何とか息を整え出した、次の瞬間、目の前に星が飛ぶ。目がチカチカして、何が起きたのか頭は理解しない。
でも、異様な痛みを持ったお腹に、蹴られたのだと頭は判断を下す。
「っあ゛ぐ…」
「…」
「っう゛!?…あ」
イタイ…イタイ…。
嫌だ。分かりたくない。判断しないで。痛みに気づかないで…。