私のご主人様Ⅲ
「ッあんたいい加減にしなさいよ!!」
「私悪くないもん」
突然聞こえた怒鳴り声に肩が跳ねる。視線を向けるまでもなく、対峙してるのは季龍さんのファンと、高崎さんだ。
高崎さんと季龍さんのファンとの仲はますます悪化するばかり。そのせいで接客班の作業は難航しているようだった。
はじめは囃し立てていた男子たちも、いい加減飽きたのか、見て見ぬふりで作業を進めていた。
「高崎さん、すごいよね。全然怯まないんだもん」
「…」
リーダーさんはそんなことを言いながら作業の手を止めずに口を開く。
それを見習って、止めていた手を再び動かしながら話に耳を傾けた。
「でも、高崎さん。永塚くんの彼女になったって言ってたけど、あれ本当なのかな」
「?」
リーダーがぽろっと溢した言葉に手が止まる。
季龍さんの彼女になった?高崎さんが…??
2人が接触したのは、始業式の次の日だけ。あの日に高崎さんが季龍さんに告白したってこと…?
でも、それなら季龍さんが高崎さんを送ることくらいするような気がする。でもあの時、そんな動きはなかったし…。
下手に聞けないけど、なんか違和感しかないような…。