私のご主人様Ⅲ

いくら願っても、一度蹴られていると判断して理解してしまった頭は、衝撃が走る度に理解する。

蹴られていること。蹴られた場所は痛みを増していくこと。

頭は理解して、痛みを走らせる。

「琴音。俺の言うことが聞けねぇのか」

「っあ゛!っはぁ…」

「お前はそんなに奴隷になりてぇのか」

言葉がかけられている間も、足は止まらない。

何度も同じ場所を蹴られる。目が霞んでよく見えなくなっていくのに、痛みだけは鮮明で脳を揺さぶる。

イタイ…クルシイ…。

当たり前のことばかりが頭をめぐる。

次第に思考が霞み、考えは消えていく。

イタイ…イタイ…。

視界が閉ざされていく中、最後に見たのは、また下ろされる足だった。
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