私のご主人様Ⅲ
16.作戦決行
疑惑
季龍side
先程まで動いた体がピクリとも動かなくなる。
気絶しやがったのか、こいつ…。髪を鷲掴みにして持ち上げても、反応がない。
「…ッチ」
琴音を引き上げ、肩に担ぐ。気を失っているせいか琴音の体は脱力している。支えていなければすぐに落ちるだろう。
…それにしても、舛田に近づいた意味が分からねぇ。
それに、こいつらしくない。バカな女どもに見られたのはもちろん、俺の言い付けを守らないことも、こいつらしくねぇ。
女どもに視線を向けるなり、ビクリと肩を振るわせる。
いつもぎゃあぎゃあうるせぇかと思えば、いつもこうならいいものを。
近づくと蜘蛛の子を散らすように退いていく。歩きやすくなった道を進み、俺と琴音の荷物を全て持ち教室を出る。
琴音と荷物を片手に持つ俺を避けるように道ができる。
空いている左手でスマホを操り、信洋に繋ぐ。ワンコールで出た信洋は昼寝でもしていたのか間の抜けた声をしてやがる。
『なーに、若。まだ授業あんだろー?』
「いいから来い」
『へーい…』
今から来ると言うことはまだ時間がある。
琴音は気絶したまま。…空き教室に戻るか。
琴音を担ぎ直し、空き教室を目指す。運よく先生には見つからずに空き教室にたどり着く。