私のご主人様Ⅲ
当たり前だが、誰もいない。
荷物を近くに放り、琴音を膝の上に乗せながら座る。
「…やりすぎたか」
琴音の首にははっきりと赤く手の跡がついてしまっている。それを指でなぞり、琴音の頬に指を走らせる。
脅せば琴音はもうバカなことはしない。そういう奴だ。舛田と口を交わすような真似はしないだろう。
…だが、なぜ舛田と接触を重ねる必要があった?
危険を犯してまで舛田と接触しなければならなかった理由はなんだ。
「…何を考えてる」
気を失ったままの琴音は何も答えない。
琴音を抱いていると、だんだん暑くなっていく。
そういえば、なんでこいつ9月でカーディガンなんか着てんだ。暑いだろうが…。
琴音の額には軽く汗が浮かぶ。やっぱり暑いんだろうが。片手で琴音を支え、カーディガンを脱がせていく。