私のご主人様Ⅲ
「…ん?」
なんだ、これは…。
肘から上の肌が青い。それも両腕とも。血色が悪いわけじゃない。…痣か?
衣替えもしねぇうちにカーディガンを着ていたのはこれを隠すため?
袖をめくって僅かに見えた肩にも痣は続く。
「…」
まさか。リボンを解き、第1ボタンから外していく。第3ボタンまで外し終わった時点でも見える位置全てが青い。
恐らく全身に痣がある。こいつはそれを隠すために、カーディガンを着てる。
暁でさえ気づいていないだろう。痛みを我慢してまでこいつは何のために…。
スマホが着信を知らせる。相手は信洋で、着いたと連絡してきたんだろう。
着信には出ず、琴音のボタンを留め直し抱き上げる。
とにかく、帰ったらこの傷のわけを聞き出す。隠した理由も…。
授業中の校内は流石に静かだ。誰にも声をかけられることなく校門を出る。