私のご主人様Ⅲ

…だが、あの時ただどうしようもなく腹立たしかった。

やめようにもやめられず、琴音に当たった。

琴音が気絶して、ようやく止めなければと自制が効いた。

「…ッチ」

調子が狂う。琴音が来てから分からねぇことばかり起こりやがる。

…それに、こいつを見ていると思い出す。“あいつ”のことを…。

「わーかー?着いたよ」

「あ?」

いつの間にか屋敷の前にたどり着いていた。

琴音を抱き抱え、外に出る。帰ってきたのが早かったせいか、何事かと顔を出してきた。

「琴音!?」

声をかけないせいか出てこようとしない組員たちを掻き分けて飛び出してきたのは暁だ。

まっすぐ駆け寄ってきた暁は、琴音の姿を見て息を飲む。
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