雪降る刹那
「わぁ!お姫様だ!」
「……っ、」
そこには、まるで絵本から飛び出してきたお姫様のような女の子が立っていた。
肩に付くか付かないかくらいの髪の毛は透き通るような金色で、ブルーの瞳は綺麗な顔をより引き立たせている。
私の放った言葉に目を見開いた”彼女”は、眉間に皺を寄せて躙り寄ってきた。
「僕は男だっ」
「え?違うよ?」
「なっ、本人がそうだって言ってるのに違うわけないだろっ!」
地団駄を踏むその子を改めてよく見ても、やっぱりどこからどう見ても女の子にしか見えない。
「えー、でも私より可愛いよ?」
「知らないよっ。そんなことより君はだれ?どうして僕の家にいるんだ?」
「え?違うよ?」
「……」
「……?」
「……さっきから、僕がそうだと言っているのにどうして君が違うというんだ」
「だってここはお母さんが働いてる所だもん」
私がそう言うと、その子は驚いたように目を見開いた。