雪降る刹那
そうして、


「君がタエさんの子どもか」

「え?違うよ?」

「……今度は何だよ」


訳の分からないことを言い出した。


「私のお母さんはタエ子って言うの。タエさんじゃないよ」

「……わかったよ。君のお母さんはタエ子さんだ」

「そうなの。それより、あなたはだれ?」

「……僕はルイだ。この家の息子だよ」

「むすこ?ここに住んでるの?」


驚いてそう聞き返すと、ルイは何故か哀しそうに頷いた。
その顔があまりにも儚くて、私は幼いながらも抱き締めてあげたくなった。


「この家が嫌いなの?」

「……っ、どうして」

「違うの?」

「……ああ、嫌いだ。こんな家燃えちゃえばいい」

「え?」


あまりにも恐い顔をしてそんな恐ろしいことを言うものだから、私はビクッと肩を揺らしてしまった。

それに気付いたルイが、苦笑しながら口を開く。


「君の名前は?」













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