雪降る刹那


「行きましょうか」

「はい…」


おばさんが立ち上がったのを見て、私もそれに続いた。

これから会う人がどんな人であろうと、私はきっとその人と結婚するだろう。

ルイの姿を思い浮かべると、ほんの少し寂しい気持ちになるけれど、それを振り切るように私は首を振った。



約束の場所に着くと、おばさんは帰って行った。
どうやら相手の人から二人で会いたいとの希望があったらしい。


緊張の面持ちのまま、店員さんに席まで案内される。


「あちらです」

「ありがとうございます」


案内してくれた人に頭を下げ、私は窓際の席に座る男の人に近づいた。

ここからでは後ろ姿しか見えない。



「遅くなってしまい申し訳ありませ、」


すぐ傍まで近づき声をかけると、立ち上がった彼を見て私は固まった。


< 8 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop