雪降る刹那
「行きましょうか」
「はい…」
おばさんが立ち上がったのを見て、私もそれに続いた。
これから会う人がどんな人であろうと、私はきっとその人と結婚するだろう。
ルイの姿を思い浮かべると、ほんの少し寂しい気持ちになるけれど、それを振り切るように私は首を振った。
約束の場所に着くと、おばさんは帰って行った。
どうやら相手の人から二人で会いたいとの希望があったらしい。
緊張の面持ちのまま、店員さんに席まで案内される。
「あちらです」
「ありがとうございます」
案内してくれた人に頭を下げ、私は窓際の席に座る男の人に近づいた。
ここからでは後ろ姿しか見えない。
「遅くなってしまい申し訳ありませ、」
すぐ傍まで近づき声をかけると、立ち上がった彼を見て私は固まった。