「王女さまは男のコ?!〜両刀使いの執事は××〜
「ねぇ、聞いてる?」

はたと我に返り、ああ、はいと返事を返す。

「専属侍従を仰せつかっております、キルクークと申します。何か王子にご用で?」

いけないいけないと脳内の暴走を叱咤して愛想よく返す。

女は、赤茶色の長い髪をかき上げた。

「王子と2人きりでお話ししたいの。その場を設けていただける?」

・・

ああ、王子のお側女を狙う女か・・

「申し訳ございません、それは私の一存では・・。」

「タダでとは言わないわ。チャス。」

背後を振り返りもせず、そこに控えている男に命じる。

男は会釈して失礼と言いカバンを差し出した。

「中を。」

見せて、という言葉を省いて男に命じる。

男ははいと返事をしてカバンを少しだけ開いて見せた。
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