秘密の視線


「みっちゃん?」

「……大丈夫、何でもないよ」


心配そうに私を見上げる姉にそう答えると、彼女は安心したように笑った。

人を疑うことを知らない真っ白な姉。

私が彼に想いを寄せているなんて思ってもいないだろう。

きっとこれからもずっと。

______……姉が気付くことはない。


「新婦様もお願いします」

「はいっ!どうしよう、みっちゃん」

「お姉ちゃんなら大丈夫。落ち着いてね」

「う、うんっ。ちゃんと見ててね」

「分かってるよ」

「それじゃ、行ってくる」

「うん…」


______……行ってらっしゃい。


背を向ける姉に、声にならない声でそう呟いた。



< 4 / 7 >

この作品をシェア

pagetop