午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-



若気の至りと言えば少しだけましに聞こえるけれど、優衣ちゃんと再会するまでの俺はそんなことばかりを繰り返していた。

叶わない想いで埋め尽くされた空っぽの心を満たすために、自分勝手にたくさんの人を傷付けてきたのだった。


彼女は昔も今も変わらなかった。

朗らかに笑う笑顔も泣き顔も。一途に誰かを想う繊細なところも。


好きな人にフラれたことや、俺が強引に迫った時に簡単に応じた時は「ああ、もう昔のあの子ではないのか」と勝手に落胆してしまったけれど、すぐに彼女が今でも昔のまま身も心も清らかだったことを知った。

全部が俺が初めての人だったことを知って安心したことも鮮明に覚えている。


それなのに過去の俺は情けなくて、自分勝手でわがままで――こんなことを優衣ちゃんに知られたら嫌われるかもしれない。


そう思って絶対に知られたくないと思っていたのに、彼女は北原さんが俺の昔の恋人だったことを知っていた。



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