午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
「ご、ごめんなさい!!」
よほど痛かったのか逢坂くんはぶつかったアゴを押さえたまま無言で空を仰いでいる。
土下座する勢いで頭を下げると、もういいからと掠れた声が降ってきた。
「……で、お前は何でそんなに死んだ目ェしてんだよ」
「えっ」
痛みから復活した逢坂くんが私の顔をじっと見つめてそんなことを言った。
私はそんなに自分が酷い顔をしていたかと慌てて笑顔を作るけど、もう遅かった。
「砂川か?」
「うっ……」
ストレートに振りかぶってきたその言葉に私の心臓は貫かれた。
大体私が一喜一憂することと言えば薫くんのことばかりだ。だから今回のことも薫くん絡みだと思って口にたんだろう。
大方、逢坂くんには喧嘩か何かかと思われているだろうけど――事態はもっと深刻だった。