午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-



ビニール製の袋が擦れ合う音だけが室内に響く。


時計をちらりと見るとそろそろ会場10分前。
薫くん以外の2人はとっくに待機場所に行っているのか、姿は見えなかった。

彼もまた、待機場所に行こうと扉の前にいたのだろう。



「優衣ちゃん」



久しぶりに聞いた、薫くんの声で発せられる自分の名前。

以前はあんなに耳にしていたのにもう懐かしさがこみ上げてくる。


たった数日、言葉を交わさなかっただけなのに。それほど私達はこの数ヶ月間、蜜に関わっていたんだろう。


名前を呼ばれると思っていなかった私は備品整理の手を止めて、顔を上げた。

自分の長い髪の毛が肩からスルスルと落ちてきて、一瞬視界が狭まったことに気を取られていると何が起きたのかわからないまま、視界が暗くなった。



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