午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
「薫くん、私」
私が沈黙を打ち破って、言葉を発した直後――薫くんは何も言わないで欲しいと言うように、私の唇に指先を当てた。
「ライブが終わったら、話したいことがあるんだ」
話したいことって、何――?
聞きたくて、でも聞ける雰囲気でもない。
心臓がうるさく脈打つのを押さえ付けて、私はぎこちなく頷いた。
薫くんの口から直接別れを告げられるのだろうか。
泣きそうになるのを堪えて、私は会場に向かう薫くんの背中を見送った。