午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
「……まあ、あんなパフォーマンス見せられたら俺は叶わないよなぁ」
どこか諦めたようなため息混じりの声とともに城谷さんが私から離れていく。
「あとね、さっきの嘘。あの夜。本当は何もないよ」
「……あ、えっと」
あの夜――私が酔い潰れて、城谷さんのホテルのベッドで目を覚ました時のことだろう。
「本当は酔った勢いでヤっちゃえって思ったけど、君があんまり幸せそうに薫くん薫くん〜って言うからさすがに罪悪感が芽生えたから途中でやめちゃった」
「そう、ですか……」
私は記憶がないから何とも言えないけど、彼がそう言うならそうなのだろう、と少し安心して胸を撫で下ろす。
信じてもらえるかはわからないけど、これで薫くんにきちんと頭を下げることができる。
軽率だった自分の行動を。