午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
「あーあ、せっかくこんなに可愛くて擦れてなさそうな子を見つけたのに残念」
そう言って城谷さんは大げさに肩をすくめてみせて、それからなぜか笑顔で振り向いた。
「さあ、臆病者の王子様。ハッピーエンドは君次第だよ」
城谷さんが言い終わった数秒の間が空いて、彼の振り向いた先にあった扉が軋む音を立ててゆっくり開かれた。
「!……か、薫くん」
気まずそうに、なんとも言えない微妙な表情をして薫くんが立っていた。
「全部聞いてたでしょ?君のお姫様は君にゾッコンみたいだけど」
城谷さんにそう言われて、薫くんは少しだけ困ったように視線を泳がせて、それから決心したように深く息を吸って私を真っ直ぐに見つめた。