午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
「その昔、姉が大変お世話になったようで。」
情報が全く整理できず、状況を呑み込めない。
薫くんの腕の拘束が緩んだのを見計らって、城谷さんに視線を向けると、彼は不気味なまでに綺麗に笑っていた。
「あれだけ派手に女遊びして姉さんの居場所までなくしておいて、今は更生して自分は可愛い彼女と幸せですなんて虫が良すぎるでしょ」
「……それは」
薫くんが何かを言いかけて、口を閉ざした。
私は薫くんの口から全てを聞かなくても、なんとなくパズルのピースがハマっていくのを感じていた。
私が彼と離れていた空白の十年間。
その間に何があったのか、もう聞かなくたってわかる。
「ごめん、優衣ちゃ――」
「嫌いになったりしないから。」
薫くんの言葉を遮って、私は衝動のままに口にしていた。