午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
「本当に愛されてるのね、あなた。私と付き合ってたときとは大違い。昔の薫、女なんてみんな一緒って感じだったのに」
「そう、ですか……」
もう驚くことなんて何もないけど、やっぱり薫くんの過去の女性関係のことを聞くと少しだけ胸が痛くなる。
過去は過去、どうしようもないんだけど。
「羨ましいわ。とはいってももう何かするつもりもないから。私が本気であの子を好きだったのは過去の話だもの」
「……北原さん」
「大丈夫。もう私は気にしてないわ」
失恋した気持ちなら痛いほどわかるつもりでいる。
申し訳なさで声のトーンを落として呼ぶと、北原さんはちょっとイタズラっぽく笑った。
「優衣ちゃん」
名前を呼ばれて、視界が揺らいだ。
顔を上げると、警戒心剥き出しで私の肩を掴んで抱き寄せて北原さんを睨みつけるようにする薫くんがいた。
いつの間に近くに来ていたんだろう。