午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
移動するため乗り込んだ車の中、東雲くんは暇そうにスマートフォンの画面を指でなぞっている。
その隣で私は明日以降のスケジュールを頭に叩き込むため、手帳とにらめっこをしていた。
「ねえ」
ふと、スマートフォンから顔を上げた東雲くんが話しかけてきた。
私は手帳をそっと閉じて彼に顔を向けると、東雲くんは怒っているわけでもなく感情の読み取れない表情をしている。
「映画の企画書、ちゃんと目通した?」
前任のマネージャーには数ヶ月前から話が通っていたらしいが、いかんせん私は引き継ぎもされないまますぐにマネージャー交代という形になってしまった。
つまり私は今後のスケジュールのことを何も知らない状態でのスタート。
この数日間、とにかくスケジュール管理で精一杯だった。