午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
「あ、ああの……すみません、押しかけるつもりは」
「ん?俺は嬉しいけど?」
財布を机の上に置いて、薫くんはパキ、と音を立ててペットボトルのキャップを開けた。
ただ水を飲んでるだけなのに無駄に色気を感じてしまって、上下する男らしい喉仏と、唇を凝視していると薫くんと目が合った。
「あ、飲む?」
「だ、大丈夫です」
あまりにも見すぎていて喉が乾いているのかと解釈されてしまったようで、彼が口をつけたばかりのペットボトルを差し出されるけど私は慌てて首を横に振って丁重にお断りした。
水が嫌なら温かいお茶なら入れられるけど、なんて言って、ペットボトルのキャップを閉めて冷蔵庫に押し込んだあと、部屋に設備されていた急須や湯呑みに手を伸ばそうとするからそれも手で制止した。