午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
「本当だ。良い香りがする」
肩から長く垂れ下がった髪の毛をひと房すくい上げて、唇を寄せられそんなことを言われてときめかない女の子がいるだろうか。
少なくとも私には効果てきめんで、一気に心拍数が上昇したのが自分でもわかった。
「ね、もっと触れてもいい?」
熱に浮かされてぼんやり薄く開いていた唇に薫くんの指が触れて、形を確かめるようになぞられた。
「……だ、め」
かすれた声が出て、力の入らない手で薫くんを押し返すけどびくともしない。
薫くんはこういう雰囲気になると、私が抵抗や拒絶ができないのをよく知っている。
こうなったらすぐに私が折れて、素直に甘えてくることも。
全てを見透かした上で、微笑んで私を見上げているだけで触れては来ない。完全に面白がられている。