午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
『ご飯は食べた?』
「いえ。まだです」
ホテルの部屋の中に簡易的なキッチンがあるので今日は何か作って食べようかと思っていたけど、ニュースの影響もありなんだかそんな気分でもなくなってきた。
『電話で長話も何だし、ご飯食べに行こうか?』
「え、そんな」
『宿泊ホテル、現場から近い?』
「は、はい。すぐ近くです」
断ろうと思っていたのに、結局勢いでうなずいてしまった。
ほどなくして数回のやりとりのあと、メッセージでお店のホームページと地図らしき画像が送られてきた。
"準備ができたらここにきて"
私のホテルからわりと近い。ゆっくり歩いても20分くらいか。
私はやっぱり断ろうかと数分スマートフォンを睨みつけながら悩んだあと――城谷さんの"待ってるよ"とのメッセージにがっくりと肩を落として、コートを手に取った。