午前0時、魔法が解けるまで。-ラブ♡スキャンダル-
息を巻いてホテルに戻ると、私の部屋の前で薫くんがじっと身動きもせず立っていた。
考え事でもしていたんだろうか、眉間にぎゅっとシワを寄せてうつむいていたけど、私に気が付いて表情を柔らかくした。
「薫、くん……」
私は思わず身を固くして、無意識のうちに自分の身体を抱き締めるようにしていた。
「さっき電話で言いかけてたこと……ちゃんと話したくて」
「わかりました。とりあえず、ここじゃ誰か来るかもしれませんから……入ってください」
カバンから部屋の鍵を取り出して、震える手で鍵穴に差し込む。
どうにか平静を装って薫くんを部屋に上げたけれど、今にも膝から崩れ落ちそうになる。