どうも、うちの殺人鬼(カノジョ)がお世話になってます。
小紺【弐】
今日から私は唐沢家の使用人として、彼のお家で働くらしい。
別に嫌じゃないし、正直どうでも良いと思ってる。
ご飯を食べて寝る場所が変わるだけだもの。
仲の良い人なんていなかったし、この児童養護施設に未練も無い。
自分の服と靴だけを鞄に詰めて、私は車に向かった。
「どうぞ、こちらに」
銀縁眼鏡の執事さんが後部座席のドアを開け、乗せてくれた。
助手席にメイドさんが座ったから、私は時流様の隣に座る。
「シートベルト、ちゃんと締めろよ」
少しぶっきらぼうな声が私に向けられる。
……この人が、今日から私のご主人様。
それにしても、よく整ったお顔立ち。
サラサラの髪は長くないのに綺麗にセットされてるし、チャコールグレーの瞳は宝石みたい。
でも、決して華奢な体つきではなく、男の人らしいたくましさも兼ね備えてる。
『ジル』ってちょっと変わった名前だし、ハーフなのかな。
私とは全く違う立場の人……