どうも、うちの殺人鬼(カノジョ)がお世話になってます。
時流【壱】
……退屈だ。つまらない。
俺は解き終わったクロスワードパズルを放り、大きくあくびをする。
「時流(じる)様!そんなはしたない真似を……旦那様と奥様が見たら、なんと仰るか」
執事の蝶野(ちょうの)が怒る。
うるせぇ、知るか、そんなもん。
第一俺の両親は海外で働いてる。
ここにはいない人間に気を使う必要なんてないだろ。
「そ〜ですよぉ、時流様!そんなんだと、彼女できなくて一生童貞になりますよぉ!傲慢な態度で意識高い系の童貞に寄り付く女子って、大体お金目当てですからね?」
メイドの真吹(まぶき)がにこやかに言う。
……俺は雇い主として文句を言うべきなんだろうが、爆弾発言すぎてどこから言えばいいのか分からない。
この俺、唐沢財閥の御曹司である唐沢 時流(からさわ じる)は、昔からこうなんだよ。
遠縁の親戚に外国人がいたお陰で整った容姿に恵まれた上、才能だか実力だが自分でもよく分からないが、なんでも簡単に出来てしまい、いつも暇している。