どうも、うちの殺人鬼(カノジョ)がお世話になってます。
それに……
『それでは『市木さん』、行ってらっしゃい。貴女は一応転校生ですから、時流様を護衛しつつ、クラスに溶け込めるように精進してくださいね』
今朝、確かに蝶野さんはそう言った。
でもこの人はついさっき、『小紺様』って呼んだ。
「貴方は……誰、ですか」
じゃぁ、今前にいるこの人は?
「フッ、さーっすが唐沢の坊っちゃんだ。洞察力もパネェな。探偵になれんじゃね?」
この声……蝶野さんじゃない!!
運転席の男がバリバリと顔の皮を剥がすと、ニヤリと笑う違う顔が出てきた。
雑に後ろに流したヘアスタイルに子供みたいな茶目っ気のある顔の男が視界に映った。
変装?!
ギュキキキキキキッ!!
「きゃあっ」
アクセルが力強く踏まれ、私と運転手だけを乗せた車が急発進した。
まだシートベルトをしてなかったから、車の中で転がされるように座席下に倒れ込んでしまった。