見ない振り


_______……


「……好きです」


桜の木の下、中学生だった私は初めて男の子に告白をした。

隣のクラスの真島 巧(ましま たくみ)くんに。

彼はいつも目立っていて、クラスは違っていても有名人だった。

スポーツ万能、成績優秀、容姿端麗。

そんな彼に告白をするなんて、身の程知らずも良いところだ。

地味で目立たない私が、彼に釣り合うわけがないのに。


「ごめん、好きな人がいるんだ」

「……っ」


あっけなく振られた私は、それから中学を卒業するまでの間、彼のことを影から見ていることしか出来なかった。
彼も告白をした私のことなんてとっくに忘れたみたいで、卒業するまで一度も目が合うことは無かった。



________……
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