見ない振り
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「……好きです」
桜の木の下、中学生だった私は初めて男の子に告白をした。
隣のクラスの真島 巧(ましま たくみ)くんに。
彼はいつも目立っていて、クラスは違っていても有名人だった。
スポーツ万能、成績優秀、容姿端麗。
そんな彼に告白をするなんて、身の程知らずも良いところだ。
地味で目立たない私が、彼に釣り合うわけがないのに。
「ごめん、好きな人がいるんだ」
「……っ」
あっけなく振られた私は、それから中学を卒業するまでの間、彼のことを影から見ていることしか出来なかった。
彼も告白をした私のことなんてとっくに忘れたみたいで、卒業するまで一度も目が合うことは無かった。
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