【紫・長編】華押(hana oshi)
花押(華押かおう、署名の代わりに使用される記号・符号)ではなく、華押(はなおし)と呼ばれる念をお祓いする作法がある。

夏冬の行う華押はコンテ・パステル絵画に秘められし物語を一旦、夏冬が読み解き、その絵画に相応しい記号・符号ではなく華と見たてた少女の横顔や半顔を、ど真ん中に墨で記すのだ。
こうすると絵画は大人しくなり、夏冬も新たな物語を修得する事になる。

ただし、作者が作品を完結させるまでのあいだ。

作者の心身の中で完全に完結する事が必要で、生存中ではその完結は稀にしか見られない。

夏冬が高3なので、その内に潜む物語も、まだ少ない。

雷撃でも浴びたかの様なその漆黒のまき毛はバストあたりまで伸ばしてあり、華押を行う時には重力に逆らう。
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