カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
ある日の夜…



珍しく、あいつは仕事に出ている。





降りしきる雨の夜、母の勤めているキャバレーに電話をかけた。




「俺…だけど・・・」



愛想よく電話に出た母の声がとたんに曇っていくのを感じる。


「忙しいのよ」


ぽつりとつぶやいている・・


「あいつ・・今いないから。
母さんみんなで、この町を出ようよ!」



電話の向こうで黙る母。




「新聞配達でも、なんでもするし、高校も行くからさ!」


啜り泣く声だけが聞こえる。





「泣いていても、しゃあないだろ?辛くないのかよ?
あいつら、二人これ以上おかしくしていいのかよ?」





『でも…有田さんが…
心配だわ…』


「何言ってんだよ!
あんた、俺らの親だろ?
しっかりしろよ!!
何ほざいてんだよ。」



『母さん、仕事あるから、電話切るよ。』





そう一方的に言うと、電話が切れた。











どうにでもなれ!!


くそッたれ!!!







< 136 / 284 >

この作品をシェア

pagetop