カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
俺らは、荷物を鞄に詰め込むほど、


余裕がなかった。


弟は眠たいそうに、あくびをしながら、着替えをしている。





妹も訳が判らない状態ながらも着替えをはじめている。






「さっさと着替えなさい」


母さんの怒鳴り声が飛ぶ。








□ □ □




急いで支度が終わり、家から出る頃には、ザーザー雨がシトシト雨にかわっていた。




「ママぁ。傘は?」

「そんなのあったら邪魔だから濡れていくわよ」





その時の母さんは、子供の心配が出来ないぐらいに、余裕がなかったようだ。





まだ6月とはいえ、北海道の雨は余りにも冷たい。


降り注ぐ雨は次第に俺らの体温を奪っていく。






雨の中、俺ら家族は線路の上を走り続けた。


今度こそ、

この町を出で行くために












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